◆カナキヌマブ治療後のCRP低下と心血管イベント減少の 関連:CANTOS無作為化比較試験からの副次解析◆

◆カナキヌマブ治療後のCRP低下と心血管イベント減少の 関連:CANTOS無作為化比較試験からの副次解析◆

【背景】
インターロイキン-1βを標的としたモノクローナル抗体のカナキヌマブ(canakinumab)は、脂質濃度に影響を与えることなく炎症や心血管イベントの発生率を低下させる。しかしながら、どのような患者群でこの治療が最も有益なのか、また炎症性バイオマーカーである高感度C反応性タンパク(high-sensitivity C-reactive protein:hsCRP)の減少が個々の患者における臨床的効果と相関するのかどうかは明らかでない。

【方法】
The Canakinumab Anti-Inflammatory Thrombosis Outcomes Study (CANTOS)は、コンピューター処理コードを用いて心筋梗塞の既往のある男女10061名を無作為に割り付け、プラセボまたはカナキヌマブ3つの投与量(50mg、150mg、あるいは300mg)のうち1つを3ヵ月に1回皮下投与した。CANTOSにおけるhsCRPの減少とイベント減少の関連性について取り組むために計画された事前指定の副次解析では、主要有害心血管イベント発生率、心血管死亡率、および全死亡率に対するカナキヌマブの有効性を、治療中のhsCRP濃度により評価した。一定の基準に達したhsCRPに関連したベースライン因子を補正するために多変数モデルを、また残差交絡(residual confounding)の大きさに対処するために多重感度分析を用いた。追跡調査期間の中央値は3.7年だった。この試験はClinicalTrials.gov、ナンバーNCT01327846に登録されている。

【結果】
ベースラインでの臨床的特徴では、カナキヌマブ治療時の心血管への有益性が高いまたは低い患者群は明確とはならなかった。しかしながら、カナキヌマブ投与群でhsCRP濃度が2mg/L未満となった患者は主要有害心血管イベント発生率が25%減少(多変数補正ハザード比[HRadj]=0.75、95%CI 0.66-0.85、p<0.0001)した一方で、治療中のhsCRP濃度が2mg/L以上の患者では有意な効果は見られなかった(HRadj=0.90、0.79-1.02、p=0.11)。カナキヌマブ投与群で治療中にhsCRP濃度2mg/L未満を達成した患者は心血管死亡率(HRadj=0.69、95%CI 0.56-0.85、p=0.0004)と全死亡率(HRadj=0.69、0.58-0.81、p<0.0001)どちらも31%減少したが、2mg/L以上のカナキヌマブ投与患者ではこれらの評価項目で有意な減少は見られなかった。事前に指定された副次心血管評価項目(予定外の血行再建を必要とする不安定狭心症での入院を追加で含めた)の分析、代替としてhsCRP濃度減少の中央値・hsCRP濃度の50%以上の減少・hsCRP濃度減少率の中央値に基づく感度分析、用量ごとの分析、目標とするhsCRP濃度に達した患者における治療効果を評価するための因果推論法(causal inference approach)を用いた分析のいずれにおいても同様の差動効果(differential effects)が見られた。

【考察】
カナキヌマブ単回投与後のhsCRP濃度減少の大きさは、治療の継続で最も大きな効果を得られそうな患者を特定するための簡単な臨床検査法となるかもしれない。これらのデータはさらに、カナキヌマブ治療での炎症の低下がより大きいほど予後が良好であることを示唆している。

(391;319-28:Paul M.Ridker et al:JANUARY 27,2018)

※カナキヌマブは「イラリス」の商品名でノバルティスから発売されている。