子どもの聞こえ

子どもの聞こえ

聴覚は視覚とともに社会生活を営む上でとても重要な感覚です。
 
難聴は、音を聞いたり、音を区別したりする能力が低下している状態です。中耳や内耳の障害で、脳の障害ではありません。

生まれた時からの難聴は、1000人に1〜2人の割合といわれていて、他の先天性の疾患に比べても頻度が高いです。
難聴には、遺伝によるものや、妊娠、出産時の病気によるもの、原因が分からないものもあります。青少年や大人になってから進行することもあります。

 
聴力に何らかの問題がある場合、早期に見つけて適切な対処をすることが大切です。
というのも、聴力が言語の獲得と密接につながっていて、音の刺激を繰り返し受けることによって、脳が学習・発達し、言葉の意味を理解できるようになるからです。
難聴も発見が早いほど適切な治療や訓練によって聴力や言葉の発達を促し、ほかの赤ちゃんと同じように成長することができます。

 
 
聴力の成長、発達 生まれたばかりの赤ちゃんでも、成人とほぼ同じ形態を備え、音刺激に反応する能力も持っています。実は、それより前の妊娠20週頃にはお母さんの体内の音や声の響きを感じ取れるようになっているといわれています。
個人差があるものなので、以下は成長の目安にしてみましょう。

 生後1〜3か月 大きな音にピクッとします。泣いているときに声をかけると泣きやんだり、話しかけるとあー、うーと声を出して喜んだりします。

 生後4〜6か月 周囲の人の声に振り向いたり、音がする方に興味を持ったりします。

 生後7〜9か月 歌ってあげるとじっと顔を見てきたり、「ワンワン」という声でキャッキャッと喜んだり、「ダメ!」というと手を引っ込めたりします。

 生後10〜11か月 音楽が大好きで手足を動かして喜んだり、「おいで」「バイバイ」がわかったり、「ママ」「ねんね」などをまねして言ったり、意味のないような言葉でおしゃべりしています。

 
 
新生児聴覚スクリーニング検査(新生児聴力検査)で耳の以上の早期発見 生後数日のうちに検査ができます。産科医院で行われることが多く、入院中に聴力検査をしてくれる医療機関もあります。
検査は、眠っている赤ちゃんにささやき声程度の音を左右の耳に聞かせてその反応を記録します。検査に要する時間は数分間で、痛みもなく安全で簡単な検査です。検査費用は医療機関によって異なりますが、およそ5000円ほどです。

 
 
幼小児の難聴が疑われるサイン 聴力検査を行わなかった場合、赤ちゃん自身症状を訴えることがないので、2〜3歳頃になって「言葉が遅い」などから、初めて難聴に気づくことが少なくありません。
様子を観察したり、聞こえ具合に注意を払ってあげましょう。

・大きな音にびっくりしない
・生後3か月を過ぎても呼びかけに反応しない
・生後6か月を過ぎても音がする方へ向いたり、音の真似をしようとしたりしない
・生後12か月の時点でまだおしゃべりをしない
・2歳までに単語をしゃべらない
・3歳になっても単語も2語文も話さない
・何かを表現をするときに言葉の代わりにジェスチャーを使う
・何度も聞き返す
・テレビの音を非常に大きくする
・学校でぼんやりしていたり、読み書きや計算が苦手だったりする

気がかりな点がある場合は、すみやかに医療機関に相談することをおすすめします。