◆◆多発性硬化症における再ミエリン化治療としての クレマスチンフマル酸塩(ReBUILD)◆◆

◆◆多発性硬化症における再ミエリン化治療としての  クレマスチンフマル酸塩(ReBUILD)◆◆

【背景】
多発性硬化症は、ミエリン(myelin)の免疫介在性の破壊と進行性神経軸索喪失により特徴付けられる中枢神経系(CNS)の変性炎症性疾患である。CNS中のミエリンは乏突起膠細胞原形質膜(oligodendrocyte plasma membrane)に伸展分化しており、クレマスチンフマル酸塩(clemastine fumarate)はin vitro、動物モデルおよびヒト細胞において乏突起膠細胞前駆体細胞の分化を刺激することが出来る。我々は、多発性硬化症患者の治療としてクレマスチンフマル酸塩の有効性と安全性を解析することを目的とした。

【方法】
我々はこの単施設150日間二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験(ReBUILD)を、免疫調整療法により症状安定している慢性脱髄性視神経障害のある再発多発性硬化症患者において行った。診断のための国際パネル基準(international panel criteria)を満たした疾患期間が15年未満の患者が適格とされた。患者は乱数発生機を用いるブロック無作為化により、クレマスチンフマル酸塩(5.36mg経口1日2回)を90日間とその後プラセボを60日間投与(1群)またはプラセボを90日間とその後クレマスチンフマル酸塩(5.36mg経口1日2回)を60日間投与(2群)のいずれかへと無作為に割り当てられた(1:1)。主要アウトカムは全視野図形反転視覚誘発電位(full-field, pattern-reversal, visual-evoked potentials)におけるP100潜時延長(latency delay)の短縮とした。我々は包括解析で分析した。この試験はClinicalTrials.gov、ナンバーNCT02040298に登録されている。

【結果】
2014年1月1日から2015年4月11日の間に、我々は50名の患者を1群(n=25)または2群(n=25)へと無作為に割り当てた。すべての患者は試験を完了した。クロスオーバーとして試験分析すると、クレマスチンフマル酸塩治療は潜時延長を1.7ms/eye(95%CI 0.5-2.9;p=0.0048)短縮して主要有効性エンドポイントを達成した。クレマスチンフマル酸塩による治療は疲労と関連していたが、重大な有害事象は報告されなかった。

【考察】
我々の知る限りでは、この試験は多発性硬化症における慢性脱髄性傷害治療のための再ミエリン化薬の有効性を実証する最初の無作為化対照試験である。我々の知見は、長期の損傷後でさえもミエリンの修復が可能であることを示唆している。

(390;2481-89:Ari J.Green et al:DECEMBER 2,2017)

※クレマスチンフマル酸塩は代表的なものとして「タベジール」の商品名でノバルティスから発売されている。