◆PCSK9 阻害薬エボロクマブによる LDL コレステロール 超低濃度達成の臨床的有効性と安全性◆

◆PCSK9 阻害薬エボロクマブによる LDL コレステロール 超低濃度達成の臨床的有効性と安全性◆

【背景】
LDL コレステロールはアテローム性動脈硬化による心血管疾患のリスク因子として確立 されている。どのくらいこのリスク因子を下げるべきなのか、または安全に下げることができるのか は議論を残している。我々は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン-ケキシン9型(proprotein convertase subtilisin kexin type 9:PCSK9)に対するモノクローナル抗体であるエボロクマブ (evolocumab)を用いた FOURIER 試験において、4週で着実に達成された低い LDL コレステロー ル濃度と臨床的有効性および安全性の関連を調査することを目的とした。

【方法】
無作為化 FOURIER 試験の患者 25982 名に関するこの事前指定二次解析において、4 週 時点で達成された LDL コレステロール濃度とそれに続く心血管アウトカム(主要エンドポイントは 心血管死、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建、もしくは不安定狭心症を複合させたもの;カギとな る二次エンドポイントは心血管死、心筋梗塞もしくは脳卒中を複合されたもの)および 10 項目の事前 指定された関連する安全性イベントとの関係について、中央値 2.2 年にわたり追跡調査された。我々 は、達成された LDL コレステロール濃度に関連するベースライン因子を調整するために、多変数モ デル(multivariable modelling)を用いた。この試験は ClinicalTrials.gov、ナンバーNCT01764633 に登録されている。

【結果】
2013 年 2 月 8 日から 2015 年 6 月 5 日までの間に、患者 27564 名が FOURIER 試験に おいて無作為に治療へと割り当てられた。患者 1025 名(4%)は4週時点の LDL コレステロール測定 がされておらず、557 名(2%)は 4 週時の検査前にすでに主要エンドポイントイベントまたは 10 項目 の事前指定された安全性イベントの1つが起こっていた。残る患者 25982 名(無作為に割り当てられ たうち 94%)は、13013 名がエボロクマブへ、12969 名はプラセボへと割り当てられた。患者 25982 名のうち 2669 名(10%)は LDL コレステロール濃度 0.5mmol/L 未満を達成しており、8003 名(31%) が 0.5~1.3mmol/L 未満の濃度を達成、3444 名(13%)が 1.3~1.8mmol/L 未満、7471 名(29%)は 1.8 ~2.6mmol/L 未満、そして 4395 名(17%)は 2.6mmol/L かそれ以上の達成濃度であった。最も低い 1%にあたる者まで低LDL コレステロール濃度と主要および二次の有効性複合エンドポイントのリ スク低下には非常に有意で単調な関連性がみられた(0.2mmol/L 未満の LDL コレステロール濃度; 主要エンドポイント p=0.0012、二次エンドポイント p=0.0001)。これとは逆に、達成された LDL コ レステロール濃度と安全性アウトカム(全ての重篤な有害事象またはその他9項目の事前指定された 安全性イベント)との間に有意な関連は観察されなかった。

【考察】
0.2mmol/L 未満まで LDL コレステロール濃度を低下させていった場合に、達成された LDL コレステロール値と主要な心血管アウトカムの間には単調な関連性がみられた。逆に、中央値 2.2年にわたる超低濃度LDLコレステロール値による安全性の懸念はなかった。これらのデータは、 現在の推奨値をはるかに下回る濃度まで心血管疾患患者のLDL コレステロール値をさらに降下させ ることを支持している。

(390;1962-71:Robert P.Giugliano et al:OCTOBER 28,2017)

※エボロクマブは「レパーサ」の商品名でアステラスから発売されている。