インフルエンザ治療薬の選択肢

インフルエンザの流行を心配する季節となってきました。
日本で開発された新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が平成30年3月に発売されました。
これでインフルエンザの治療薬は、飲み薬のタミフルとゾフルーザ錠、吸入薬のリレンザまたはイナビル、そして点滴薬のラピアクタから選択できることになります。

ゾフルーザはどういったお薬?

インフルエンザウイルスはまず、鼻や喉の粘膜の細胞に入り込みます。
細胞の中で増殖した後は、外に出て隣の細胞に次々と入り込んでどんどん増えていきます。
これまで使われてきたタミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタは、「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれ、細胞内で増えたウイルスが細胞から外に出ることを遮断することで、周りの細胞に感染が広がっていくのを防ぎます。一方、ゾフルーザは、細胞内でのウイルスそのものが増えないようにする働きがあります。
ウイルスに対する作用が今までの薬剤と異なる、新世代の治療薬です。
一回の服薬でインフルエンザ治療が完結する錠剤です。体重が10㎏以上あり錠剤が飲めるお子さんから使用できます。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効果があります。臨床試験の結果では、タミフルと比較して症状が出ている時間に大きな差は無いようですが、ウイルスが体から消えるまでの期間が短くなり、有害な副作用の出現率が低いとされています。

タミフル:ドライシロップとカプセルとがあり、生後2週目のお子さんから使用できます。
以前は10代の方には原則使用しないことになっていましたが、どの年齢の方でも使用できるようになりました。A型・B型インフルエンザに有効です。今年はジェネリック医薬品も発売されました。お薬自体の値段は以前の半額程度となっていますので、自己負担金が少し安くなります。
リレンザとイナビル :どちらも粉状になった薬を口から吸入する薬です。
リレンザは1日2回1回2吸入ずつを5日間継続します。
イナビルは1回の治療で終了しますが、年齢に応じて10歳未満は1容器、10歳以上は2容器吸入します。上手に吸入できるのは5歳くらいから、効果も安全性もどちらも同様であると報告されています。
ラピアクタ :点滴のお薬で、薬を飲んだり、吸ったりが難しい方や重症の場合使用します。15~30分程度の点滴1回で治療は終了します。
これらの治療薬は体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で、病気の期間と症状の重さを軽減する効果が優れています。しかし、インフルエンザにかかった全ての人に使う薬ではなく、患者さんの年齢や状態を見極めて使用することになっています。

乳幼児や高齢の方、妊娠中、持病をお持ちの方は、インフルエンザにかかると重症化しやすい傾向があります。予防接種を受け、手洗い・うがいを心がけ、生活リズムや栄養面など健康管理も大切です。