今年に入り、厚生労働省はタミフルの10代への使用禁止を解除する方針を決めました。
2007年、タミフルを服用した10代の患者が自宅から転落死するという痛ましい事故があり、その後も事故が続いたため、厚生労働省は、10代のインフルエンザ患者に対し、「原則使用を差し控えること」としていました。
しかし、その後厚生労働省の調査で異常行動はタミフルを服用したから起こるわけではなく、他の抗インフルエンザ薬や高熱により起こることもあり、「抗インフルエンザ薬と異常行動との因果関係は不明」としてタミフルに限定しての禁止措置を取りやめるようになりました。
異常行動とは、突然家中を走り回る、意味不明な事を言う、外に飛び出そうとするなどの行動をさします。
「異常行動があらわれる可能性があるなら、子どもに飲ませるのは心配…」と思われるかもしれませんが、異常行動が現れるのはごくわずかな割合で、注意事項を守り適切にお薬を飲めば過剰に心配することはありません。
抗インフルエンザ薬は、症状のある期間を短くし、悪化を防ぐことができます。
抗インフルエンザ薬にはタミフル、リレンザ、イナビルなどがあります。これらの薬を使用するしないに関わらず、インフルエンザ罹患時は異常行動が起こる可能性がある為、自宅で療養する場合、抗インフルエンザ薬の服用を始めて少なくとも2日間、保護者は子どもが一人にならないように目を離さないことが大切です。
さらに、以下のことに気をつけましょう。
①自宅の玄関や窓のカギを全てかける
②ベランダに面していない部屋で寝かせる
③一戸建ての場合、できる限り1階で寝かせる
例年、インフルエンザは11月頃から徐々に増え始めます。主にインフルエンザに感染した方の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによって感染します。
人ごみは避け、出掛ける際はマスクを着用し、帰宅の際には手洗い、うがいをきちんと行いましょう。普段から栄養や睡眠を十分にとることも大切です。
インフルエンザワクチンも有効です。ウイルスは毎年少しずつ性質を変え、ワクチンの効果持続期間は4~5か月ほどしかありませんので毎年接種する必要があります。
ワクチンは13歳未満では2回接種し、13歳以上では原則1回接種とされています。効果を発揮するのに2~3週間かかるため、11月中には接種しましょう。
予防接種をすることで感染を完全に防ぐことはできませんが、感染者を減らし、もし感染したとしても症状を軽くする事ができます。
小児の場合、インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児では3日)を経過するまでは登校・登園は控えるようにしてください。成人の場合は、明確な基準は設けられておらず、会社の指示を仰ぎます。
ウイルスは発症前日から、発症後3~7日間排出されるので、この期間は外出を控えるようにしましょう。