◆非心臓手術後の心筋損傷患者におけるダビガトラン (MANAGE):国際的無作為化プラセボ対照試験◆

【背景】

非心臓手術後の心筋損傷(myocardial injury after non-cardiac surgery:MINS)は心血管イベントや死亡のリスクを増加させるが、抗凝固療法はそれらを予防できるかもしれない。ダビガトラン(dabigatran)は周術期の静脈血栓塞栓症を予防するが、この薬剤がMINS患者の血管合併症をより広範囲に防ぐことができるかどうかは知られていない。The MANAGE試験は、そのような患者間で主要な血管合併症を防ぐ目的におけるダビガトランの可能性を評価した。

【方法】

この国際的無作為化プラセボ対照試験において、我々は19ヵ国の84病院から患者を募集した。適格とされた患者は少なくとも45歳以上で、非心臓手術を受け、MINSから35日以内である者とした。患者はダビガトラン110㎎あるいはプラセボを1日2回経口投与する群へと無作為に割り当てられ(1:1)、期間は最長2年間または試験終了までとした。また部分2×2要因デザイン(a partial 2-by-2 factorial design)を用いて、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用していない患者に対しては主要な上部消化管合併症に対するその効果を評価するために、オメプラゾール(omeprazole)20mgあるいはプラセボを1日1回投与する群へと無作為に割り付け(1:1)、その結果は別の機会に報告する予定である。研究者はブロック無作為化法を用いて中央施設の24時間コンピュータ無作為化システムで患者割り付けを行い、施設により層別化された。患者、医療従事者、データ収集者、およびアウトカム審判者は、治療割り当てを隠されていた。一次有効性アウトカムは主要な血管合併症の発生として、血管死、非致死的心筋梗塞、非出血性脳卒中、末梢動脈血栓症、切断術、および症候性静脈血栓塞栓症を複合させたものとした。一次安全性アウトカムは、生命を脅かす大量で重篤な臓器出血の複合とした。分析はintention-to-treat法に基づき解析が行われた。この試験はClinicalTrials.gov、ナンバーNCT01661101に登録されている。

【結果】

2013年1月10日から2017年7月17日までの間に、我々は1754名の患者をダビガトラン群(n=877)あるいはプラセボ群(n=877)へと無作為に割り当て、556名の患者はさらにオメプラゾール部分要因試験(the omeprazole partial factorial component)へも無作為に割り付けられた。治験薬は、ダビガトラン群877名中401名(46%)とプラセボ群877名中380名(43%)が永久的に中止となった。複合一次有効性アウトカムは、プラセボ群よりもダビガトラン群へと無作為割り付けされた患者の方がより少なかった(ダビガトラン群患者877人中97名[11%] vs プラセボ群患者877名中133名[15%];ハザード比[HR] 0.72、95%CI 0.55-0.93;p=0.0115)。一次安全性複合アウトカムは、ダビガトラン投与群患者29名(3%)とプラセボ群患者31名(4%)で発生した(HR 0.92、95%CI 0.55-1.53;p=0.76)。

【考察】

非心臓手術後の心筋損傷(MINS)患者において、ダビガトラン110㎎の1日2回投与は重大な出血を有意に増加させることなく主要な血管合併症のリスクを低下させた。MINS患者は予後不良であり、ダビガトラン110㎎の1日2回投与は主要な血管合併症のリスクを減らすことで世界中にいる800万人の成人MINS患者の多くを助ける可能性がある。

(391;2325-34:P.J.Devereaux et al:JUNE 9,2018)

ダビガトラン「プラザキサ」の商品名で日本ベーリンガーインゲルハイムから発売されている。

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