加齢と老化

加齢は単なる時間経過で毎年1歳ずつ歳をとり誰もが同じスピードで進んでいくのに対し、老化とは加齢に伴う細胞や組織の機能低下により筋力、免疫力、病気に対する抵抗力などの生体機能が低下することです。一定年齢以降誰にでも起こることですが、遺伝的要因や生活・環境要因の影響を受け、個人個人で速さが違います。老化は避けては通れないものですが、決して病気ではありません。

いつから始まる?

老化は生物学的機能が成熟しピークに達する20・30歳以降に始まり、徐々に進んで行きます。
40歳以降はそのスピードが加速すると考えられています。

原因は?

老化の原因の1つは、加齢による活性酸素障害であると考えられています。活性酸素障害は、①活性酸素生成速度、②活性酸素消去速度、③活性酸素組織修復速度のバランスにより決まるとされています。つまり①を抑え、②、③を回復させることができれば、老化のスピードを抑えることができるということになります。
活性酸素ができる原因には様々ありますが、車の排気ガス、タバコ、紫外線、激しい運動や心理的ストレスなどが主な原因と考えられています。
老化のスピードが40歳以降に早まるのは、活性酸素を取り除いていた「抗酸化酵素」の能力が急速に減少するためと考えられています。
このため老化のスピードを抑えるには、代謝を抑え、活性酸素の蓄積を抑制することが有効と考られています。

老化による身体への影響

老化は、身体へ様々な影響を及ぼします。視力や聴力の低下などもその1つですが、その他主なものは、
1.脳神経系…大脳萎縮、脳細胞減少、神経伝達物質の活性低下による認知機能の低下
2.心血管系…左心室肥大、冠動脈硬化、運動時の最大心拍出量低下による心筋梗塞、心肥大、心不全、高血圧など
3.呼吸器系…肺胞数の減少、肺の弾性力の低下による呼吸機能の低下
4.消化器系…咀嚼や嚥下機能の低下による誤嚥性肺炎、消化管運動の低下による便秘などの便通異常、胃内容物の
       逆流による逆流性食道炎など
5.腎泌尿器系…腎血流量などの低下による夜間頻尿や尿失禁など
6.骨格系…骨量、骨密度などの減少による骨粗鬆症、骨折など、また関節液の減少などによる関節炎など様々です。

「医師から、歳のせいだと言われた」などとお聞きすることもあり、老化が原因の体の不調は誰もが避けては通れないものですが、できるだけ遅く、影響は少なくしたいものです。