夏に多い子どもの病気

夏に子どもたちがかかりやすい感染症に、
「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」があります。
3大夏かぜとも呼ばれていますが、夏かぜから身を守るために、
それぞれの特徴やケアのポイント、予防について紹介します。

手足口病

その名の通り、手や足、口の中などに小さな発疹や水疱が現れます。
おしりやひざなど全身にできることもあります。
発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどで、
下痢などを伴うこともあります。手足の水ぶくれは痛がりませんが、
口の中は痛むことがあります。
ほとんどの人は3日~7日で自覚症状がなくなり回復します。
原因は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスの感染によるもので、
ウイルスのタイプが数種類あるため、以前にかかったことがあっても、
再度かかってしまうこともあります。水疱から直接人へはうつりません。

ヘルパンギーナ

39~40℃の高熱が突然出て、のどの奥にたくさんの小さな水疱ができるのが大きな特徴です。
水疱がつぶれると唾液を飲み込むのがつらいほど痛みがひどくなり、よだれが増えたり、
食欲も低下します。熱は2~3日でさがり、水疱は1週間程度でおさまります。
手足口病のような全身の発疹は出ません。
原因は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスへの感染です。
複数のウイルスが原因になっているので、何度もかかってしまう人もいます。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスに感染することで、38~39度の高熱が4~5日続き、
のどの腫れや痛みの他に目やに、充血、涙目などの結膜炎症状や腹痛、下痢を伴うこともあります。

熱は下がりにくく、1週間程度続くこともあります。
夏にプールで集団感染することがあり「プール熱」とも呼ばれますが、非常に感染力は強く
口や鼻、目の結膜からウイルスが体内に入り感染するので、実際にはプール以外でも感染は広がります。

治療やおうちでのケアは?

夏かぜはウイルス性の疾患で特別な治療薬はありませんが、
高熱やのどの痛みなどの症状を抑えるための薬を使うこともあります。
プール熱で目の症状が強ければ点眼薬による治療が必要になります。
高熱も心配ですが、熱ざましは使いすぎることのないように、
子どもの状態に応じて利用しましょう。
夏かぜは、安静にすることで次第に回復する場合がほとんどです。
家庭では、脱水を起こさないようにこまめな水分補給と消化の良い食べ物を少しずつ与えるとよいでしょう。
口の中に水疱ができて痛い時は、プリンやゼリーなど柔らかいもの、熱くないもの、
味の濃くないものなど刺激の少ないものを与えてあげてください。
また、兄弟姉妹だけでなく、看病している親にもうつってしまうことがあるので、
十分な手洗いやタオルや食器は子どもと別にしたり注意しましょう。

登園や登校は?

手足口病とヘルパンギーナは、症状が強く出ていてつらい間お休みすることになります。
プール熱の場合は、感染を広げないために、原則として、発熱など主な症状がなくなった後、
2日を経過するまで出席してはならないことになっています。主治医とよく相談してください。

夏かぜを予防するために

①手洗い・うがい
飛沫感染、接触感染を防ぐためには、手洗いとうがいが基本です。外から帰ったとき、
食事の前などこまめにしておくと安心。手足口病やヘルパンギーナは、
治ったあともしばらく便にウイルスが排せつされることがあるため、
おむつ交換時の手洗いはとくにしっかり行いましょう。

②規則正しい生活
夏はイベントも多く、生活リズムが乱れがちです。
また、夏の暑さは体力を消耗しやすく子どもも疲れやすくなっています。
早寝早起きをし、睡眠時間をしっかり確保してあげましょう。

③食事
夏はアイスやジュースなど冷たいものを多く摂りがちで、おなかを壊してしまうことも。
栄養を考えて、バランスよい食事も大切です。食中毒が起こりやすい季節でもあるので、
食べ物の保管にも注意し、調理時はしっかり加熱することが大切です。

④健康に過ごせる室内環境
エアコンや扇風機を効果的に使い、温度や湿度を調整し心地よく過ごせる環境を保つことも大切です。
夏は温度を26~28度、湿度は60%前後に保ち、定期的に換気もしましょう。

発熱や発疹などの症状がでたら、
かかりつけの小児科を受診するようにしましょう。