ポリファーマシーとは?

ポリファーマシーとは

多剤併用(多くの薬を使用している状態)のことで、複数の薬を使用することで、有害事象(医薬品の使用によって生じる好ましくない反応)が現れやすくなります。
特に高齢者では、加齢に伴う生理的な変化や複数疾患の治療のため一人が使用する薬の数が多くなりがちで、問題が起こりやすい状況にあります。
そこで厚生労働省では、2017年に高齢者の医薬品適正使用ガイドライン作成のためのワーキンググループを結成し、今年3月末に「高齢者の医薬品適正使用の指針案」としてまとめました。これを使用するのは主に医療関係者ですが、内容を理解しておくことで、上手に治療を受けることができると考えます。

何剤からポリファーマシーか?

飲む薬の数が多くなると、ただ単に有害事象が起こる可能性が高くなるだけではなく、飲み間違いや必要な薬がきちんと飲めず、病気の悪化を招いてしまうことがあります。
一般的には6剤以上で可能性が高いと言われていますが、治療に6剤以上必要な場合もあれば、3剤でも問題が起こる場合もあり、薬の数の問題だけではありません。

どんなことが問題か?

高齢者では、次のようなことが問題となっています。

複数疾患を抱え、複数医療機関を受診する方が多く、服用薬品数が増える傾向にあります。
60歳以上の方は、服用する薬の数が若年者に比べ増える傾向にあり、特に75歳以上ではより多い傾向があります。

生理機能の低下などにより、効果や副作用が若年者とは違う現れ方をすることがあります。
また多くの薬を服用することにより、薬の相互作用が現れやすくなります。

薬が原因で起きている症状であることに気づかず、別の医療機関を受診し、それに対する薬を処方されることがあります。

ポリファーマシーによる問題を防ぐために

1.かかりつけ医、かかりつけ薬局(薬剤師)を持つ
複数医療機関の受診は、薬が増える原因の一つです。まず、かかりつけで相談しましょう。

2.お薬手帳の活用
 同じ成分でも違う名前の薬として処方されることもあります。また服用している薬が原因で起きている症状の発見にも役立ちます。

3.健康診断を受ける
 自治体や職場の健診、人間ドックなどを受けることにより、病気の早期発見につながり、早期治療できます。

4.余分な薬をためない
 飲み忘れ以外でも、味が悪い、大きい、量が多いなどで飲めずに残っている薬があれば、遠慮せず、医師・薬剤師に相談しましょう。また必要以上に薬をもらい過ぎないようにしましょう。

5.自己判断で薬を中止しない
 症状が改善した時は、勝手に中止せず、医師・薬剤師に相談しましょう。