◆◆急性重症出血での抗線維素溶解薬の 有効性と安全性における治療遅延の影響◆◆

◆◆急性重症出血での抗線維素溶解薬の  有効性と安全性における治療遅延の影響◆◆

[a meta-analysis of individual patient-level data from 40138 bleeding patients]

【背景】
抗線維素溶解薬は外傷や産後出血による出血死を減少させる。我々は、抗線維素溶解薬の有効性における治療遅延の影響を調査した。

【方法】
我々は、急性重症出血に対する抗線維素溶解薬を評価した1000名以上の患者で実施された無作為化試験について、個々の患者レベルデータのメタ解析を行った。MEDLINE、Embase、the Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、PubMed、Popline、the WHO International Clinical Trials Registry Platformより1946年1月1日から2017年4月7日の間に実施された試験を確認した。治療効果の主要評価は出血死が無いこととした。我々は、ロジスティック回帰モデル(logistic regression models)を用いて治療有効性における治療遅延の影響を調査した。感度解析では測定誤差(誤判別)の影響を調査した。この試験はPROSPERO、ナンバー42016052155として登録されている。

【結果】
我々は、急性重症出血(外傷や産後出血)におけるトラネキサム酸(tranexamic acid)の2つの無作為化試験から40138名の患者データを取得した。全体で3558名が死亡しており、そのうちの1408名(40%)は出血によるものだった。多くの出血死(1408名中884名[63%])は発症から12時間以内に死亡していた。産後出血による死亡は出産後2-3時間がピークだった。トラネキサム酸は有意に出血からの総体的生存を増加(オッズ比[OR] 1.20、95%CI 1.08-1.33;p=0.001)させており、出血部位による不均一性はみられなかった(interaction p=0.7243)。治療遅延は治療効果を減少させた(p<0.0001)。迅速な治療は生存を70%以上改善した(OR 1.72、95%CI 1.42-2.10;p<0.0001)。従って、3時間までは治療遅延15分毎に生存効果が10%低下し、それ以降は効果がみられなかった。トラネキサム酸による血管閉塞性イベントの増加はなく、出血部位による不均一性もみられなかった(p=0.5956)。治療遅延は、血管閉塞性イベントにおいてトラネキサム酸の効果に影響しなかった。

【考察】
出血による死亡は発症後すぐに起こり、短時間であっても治療遅延はトラネキサム酸の投与効果を低下させる。患者は迅速に治療されなければならない。トラネキサム酸の作用メカニズムに対する我々の理解を深めるため、さらなる研究が必要とされている。

(391;125-32:Angele Gayet-Ageron et al:JANUARY 13,2018)

※トラネキサム酸は代表的なものとして「トランサミン」の商品名で第一三共から発売されている。

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