喫煙と医療費

喫煙と医療費

厚生労働省は、「喫煙の健康への影響報告書」をまとめ、そこから喫煙関連疾患にかかった医療費を計算し、発表しました。
2001年にも同様の報告がありますが、2005年にFCTC(世界保健機関枠組み条約)が発効し、さらに2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されることから、喫煙の健康に及ぼす影響についてもっと知ってもらい、受動喫煙を防ぐ対策をしっかりとするために改めてまとめられました。

喫煙の影響がある疾患

◎因果関係があるという根拠が十分ある疾患
1.各種がん・・肺、咽頭部、食道、胃、肝臓、膵臓、尿路、子宮、二次がん(別の新たながん) 罹患など
2.循環器・・・虚血性心疾患、脳卒中など
3.呼吸器・・・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
4.糖尿病
5.その他・・・歯科疾患(歯周病)

◎受動喫煙が原因の可能性が高い疾患
1.各種がん・・肺、鼻腔・副鼻腔、乳がんなど
2.循環器疾患・・・虚血性心疾患、脳卒中など
3.呼吸器・・・急性・慢性呼吸器症状・機能低下、喘息発症・コントロール不良、COPDなど
4.小児・・・・低出生体重、胎児発育不全、喘息(発症、悪化)、中耳疾患、乳幼児突然死症候群、う蝕など

  
喫煙者の各疾患の相対危険度

喫煙者は非喫煙者に比べて、以下のようにリスクが高くなります。

・非喫煙者に対する倍率(青字は男性赤字は女性
  全死因    1.63  1.76
  全がん    1.97 1.57
  全循環器疾患 1.52 1.98
  全呼吸器疾患 1.52 1.98
  全消化器疾患 2.04 2.13

・喫煙が原因の医療費(がん、虚血性心疾患、脳卒中)
 喫煙者患者数 79万人
  〃 医療費 1兆1700億円
 受動喫煙被害患者数 24万人
  〃 医療費 3200億円

 喫煙率が低下しているため、2001年に比べ喫煙者本人の医療費は減少していますが、受動喫煙に関しては、関連のあることが立証された疾患が追加されたこともあり、患者数、医療費ともに増加しています。
 また病気になり入院したことなどによる経済的損失は、喫煙・受動喫煙合わせて2500億円、勤務中に喫煙するため席を離れることによる損失は5500億円と試算されました。
  

タバコには発がん性があると報告されている物質が約70種類含まれており、喫煙者本人ばかりではなく周りの人にも影響があります。

2020年東京オリンピック、パラリンピック開催に向けて受動喫煙防止法が変更されようとしていますが、しっかりと受動喫煙を防ぐことのできる法律となるよう見守って行く必要があります。